Reminiscence
フェンは自室に戻った。
部屋に置かれている時計は5時を少し過ぎている程度だ。
猫の姿のランジェは既に部屋にいて、ベッドの上でくつろいでいる。
「フェンか。どうだった、図書室は?」
「うん、いろんなことが一気にわかった。でももうあそこに用はないわ」
「そうか」
「ランジエ」
「……なにかあったのか?」
フェンがランジェを正しい発音で呼ぶと、ランジェは身を起こし、フェンをじっと見つめた。
「……ううん。今度……今度聞くわ」
フェンはそっと身震いをした。
知ることを怖いと思ったのは初めてだった。
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