Reminiscence
部屋に運ばれてきた夕食は豪華なものだった。
それぞれの量は少ないが、とにかく数が多く、その全てが綺麗に飾られるように盛りつけられていた。
こういうものを贅沢と呼ぶのかもしれない。
フェンはいくつかだけを食べ、ほとんど残したまま部屋を出た。
ランジェはフェンの肩に飛び乗り、眠たそうにしっぽを揺らしていた。
儀式場までの道は覚えていたので迷わずに行ける。
しかし、フェンは少々遠回りをしながらその場所に向かった。
決断をしたとはいえ、口にだすのは少しためらいがあった。
このまま、ネニャフルに帰ってミカゲと三人で穏やかに暮らしたいという想いと、ダンテの死の原因を全て根絶したいという相反する想いに揺れていたからだ。
「行け、フェン」
突然ランジェが口を開いた。
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