Reminiscence
「より強い衝動に身を任せ、闘う道を選べ。その先に未来があり、求める真実がある」
「あ……」
ふっと、フェンは身が軽くなるのを感じた。
胸のあたりにあった重苦しいわだかまりがすぅっと解けていくような感覚だ。
同時に、頭のあたりにいつの間にか広がっていた薄い霧がほどけていくようだった。
何をいまさら迷っていたのだろうか。
昨日の夜は強く決断したというのに。
どうして別のことを考えていたのだろうか。
今はそれを考えるときではないというのに。
ルーナフィアナが残した手がかりは確かに気になる。
しかし、それに捕らわれて足踏みしている時間なんてないのだ。
自分は、ランジエ=シエンクロウ=メギと契約したリーフェンリア=シャルだ。
そのことが、一番大事なことで、確かなことなのだ。
どんな真実も、それを……自分とランジェの絆を覆すことはできないのだ。
フェンは儀式場に向かって走り出した。
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