Reminiscence

学院での生活の始まり

フェンは馬車に揺られていた。
学園へ向かう馬車だ。
隣にはアシュレイとジャスパーが、向かい側にはティーと初めて会う青年と少女が座っていた。
青年は髪を長く伸ばしていて、目元には逆三角形の模様が描かれていた。
彼は呪術師のフォルテと名乗った。
少女は龍国の資料で見たことのある服に似ている衣裳を着ていた。
なにより目を引くのは白く長い髪と赤い瞳だ。
どこか人間離れした雰囲気の少女はファイとだけ名乗った。
ティーはうつむいたまま一言も発さない。
アシュレイは仏頂面だし、ジャスパーは肩身が狭そうにしている。
フォルテは始終苦笑していて、ファイだけが涼しい顔をしていた。
「ティー」
ついに耐えきれなくなってフェンはティーに話しかけた。