Reminiscence
「……ああ、正論だ。ムカつくけど正論だな。とりあえず、自己紹介をしよう。僕は確かに王女だが、僕はウェスティー・ド・アマランス、王女の騎士、司祭だと名乗っている。ここにいるのは、僕の正体が王女だと知っている者だけだ」
「なに?王女が司祭を兼任してんのか?」
ジャスパーが尋ねるとティーはうなずいた。
「ああ。王子は剣士、王女は司祭として騎士の一員になるのがしきたりなんだ」
「それはどうして?」
フェンが尋ねた。
「わからない。ただしきたりだからとしか……。そして、このことは秘密にされてきたんだ。騎士の一人は守る対象である王だってことは。まあ、身を隠すのには最適だとは思うけど」
「たしかに、結界がもろくなってる今、こうして正体を隠した方が安全だな」
アシュレイはそうつぶやいた。
「まあ……アシュレイとジャスパーが僕の正体を知ってしまったのはたまたまなんだけどね」
「ぼろぼろな隠れ蓑だね」
アシュレイはくすくすと悪意たっぷりに笑った。
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