Reminiscence
「でも、騎士全員に正体を隠す必要はあんのか?」
溜息をつきつつジャスパーが尋ねた。
「いつかは明かすさ。でも集まったばかりの騎士に僕の正体を明かしてみろ。いかにも騎士の中で一人だけ気を使われてる奴がいたら怪しすぎるじゃないか」
「あ、逆に言うとここにいるのは王女に気を使わない奴ばっかりってことだからね」
にこにことフォルテが言った。
この人はこの人で腹黒いのか、いや、ティーが苦笑しているところをみると、ティーと元々親しい人なのかもしれない。
「だから皆、くれぐれも僕のことは王女と呼ばないでくれよ」
ティーはいたずらっぽく人差し指を唇にあてて笑った。
フェンはその様子にくすっと笑った。
「ああ、わかった。でもぼくは今は君の騎士だ。だから君を守るよ、ティー」
フェンがティーに微笑みかけると、ティーは一瞬ひどく驚いたような顔をして、それから嬉しそうにうなずいた。
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