Reminiscence
「魔獣?」
「なんだ、お前魔獣も知らないのか」
「はい」
旅人は呆れたようにフェンを見た。
「本当に世間知らずだな。何も知らずに一人放り出されでもしていたらすぐに死んでいたかもな」
「……」
フェンは村を出たことがあまりなかった。
だからこそ旅という、外を知るきっかけになるそれに強く惹かれたわけだが。
村を出てたった2日。
だというのに、自分は何も知らなかったんだ、ということを嫌というほど痛感した。
できるだけ師匠の意に添おうとしても、それさえ満足にできてはいないではないか。
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