つないだ手。

目の前が滲んだ。

なんで涙が出るの?
お酒入ってるから?

どうしよ。
まつげ取れる……


私は席を立とうとした。


「おい!!!」

ヒロくんが私の腕を掴んだ。

「どした?

なんか嫌なメール来てたの?」

ヒロくんが真剣な顔で
聞いてきたから

私は必死で笑って

「いや、まつげ!」

と言った。

そして腕を振り払おうとして
カシオレをこぼした。


ガシャーンッッッ!!!


紗江達も気付いて
こっちを見た。

テーブルの下には
割れたグラス。

そしてヒロくんのズボンは
カシオレだらけ。

「あ…………ごめんなさい…」

私はおしぼりで
ヒロくんのズボンを
拭こうとした。

「結菜、なしたの?」

紗江がマイクを使ったまま
聞いてきた。

「ちょっとぶつかっちゃった
ハハハッ…」

ヒロくんのズボンを
まず拭かなくちゃ!

私はまたヒロくんの
ズボンに手をのばした。

「大丈夫大丈夫!
こんくらい気にすんな!
なんなら脱ぐか!?(笑)

てかガラス危ないから
ソファー上がんな?

今店員呼ぶから!」

ヒロくんは笑顔で
私の頭を撫でた。




私はまた

涙が出た。
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