つないだ手。
「別に…

本気だった訳じゃ
ないんだよ…」

私は泣きながら
なぜかヒロくんに向かって
話していた。

ズボンがべちゃべちゃの
ヒロくんに。

「ん…?」

でもヒロくんは
私の話を笑顔で聞いてくれた。

「でも、はっきり
店辞めるなら終わりってさ…

ひどくない?

道具なのくらいわかってたよ。

でももっと遠回しにさ……」

「うん」

「お金、お金って。

私はお金??

売り上げないと必要ない?

私は必要ないの?」

ヒロくんは泣きじゃくる
私の頭を撫でながら
黙って聞いてくれた。

「もう、あんな店……」


「うん。辞めな。」

ヒロくんが言った。

辞めなって言ってくれた。


こんな小さな事かもしれない。

でもこの時の私には
一番嬉しい言葉だった。
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