つないだ手。

「はい」

私が電話に出ると相手が

「結菜…久しぶり、わかる？」

と言った。



………店長だった。

警察に捕まって以来
全く音沙汰なしだったから
いきなりすぎて
びっくりした。


「店長！出てきたの！？」

「うん…ちょっと前にな。
結菜の番号調べるの
時間かかった。
お前番号変えてあんまり
みんなに教えてないべ？」

「うん、教えてない…」

私は最低限の人にしか
新しい番号を教えなかった。

というか、前の携帯を
捨ててしまったから、
教えたくてもみんなの
連絡先がわからなかった。


「会えるか？」

店長が言う。

「えっ…」

「俺、ずっと結菜に
会いたかった。

会おう？」

私はあの時、
捕まっている間に
私の事なんか忘れるだろう
と思って…

店長の「待ってて欲しい」
と言う願いを
聞いたんだ…


「今から俺んち来れるか？」

「うん。わかった。」


なんでかわからないけど、
久しぶりに店長に
会いたくなった。