つないだ手。
ヒロくんの家に着いた。

綺麗な一軒家。

「いいとこ住んでるね〜」

「普通普通!」

ヒロくんはそう言って
荷物を全部持って
玄関のドアを開けた。

「ただいまぁ〜」

「おかえり〜」

廊下の先から
女の人の声がした。

私は小さな声で
「おじゃまします」
と言って靴を揃えて
ヒロくんについてった。

ヒロくんの家は
リビングに階段が
ついていた。

だから一回リビングを
通らなきゃ
部屋に行けない。

わたしはリビングに
入る時もう一回
「おじゃまします」
と言った。

対面キッチンから顔を出した
綺麗な人が
「いらっしゃい」と
言ってくれた。

「あ、母ちゃんだから」

とヒロくんは言った。

「んであっち父ちゃん」

と指さした先には
ソファーに座った
お父さんが居て
目が合うとニコッと
笑ってくれた。

だから私も軽く会釈して
ヒロくんについて
階段を上がった。

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