つないだ手。

私は布団に横になりながら
ヒロくんと話していた。

「ビールこぼすなよ!
タバコ落とすなよ!」

とヒロくんは笑った。


ふっとガラステーブルを見ると
ガラステーブルの下についた
棚に紙が置いてあった。

私のテンションは
一気に下がった。









「……ヒロくん、結婚するの?」

私はヒロくんに聞いた。


「はっ!?………あぁ。
それね。」

ヒロくんはその紙を
手に取った。


〈婚姻届〉


「これ昔のだよ。」

ヒロくんは寂しそうに笑った。

「そうなんだ。」

私は深く聞けなかった。

「気になる?」

笑いながら私の目の前に
紙をヒラヒラさせてきた。

「いや、プライベートでしょ」

「プライベート?!
俺芸能人!?」

「プライバシー?」

「なんじゃそれ!」

「とにかく、言いたくない事
言う必要ないよ!」

私はなんだか
聞きたくなかった。

婚姻届けを渡すほど
好きな人が居たのかな。

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