つないだ手。
私は黙ってプリ帳を
元の位置に戻した。

変わらずテーブルの下にある
婚姻届。

これはこの人との………



私が考えて居ると
ヒロくんが戻ってきた。

私は作り笑いをした。

「早かったね〜」

「急いだからな」

「急いだら消化に悪いよ」

「結菜のせいで
消化不良起こすかもー」

ヒロくんは笑いながら
布団に座る私の隣に座った。



そしてまた私の頭に
手を伸ばす………



私は黙って
手を振り払った。

「その頭撫でるの癖?」

私が言うと

「嫌だった?」

ヒロくんは苦笑い……


嫌じゃない。

嫌じゃないし撫でて欲しい。

でも………

「嫌じゃないけど、

チャラいなぁ〜って。

好きでもない女にも
平気でしちゃうとか、

ひくんだよね。」

私はモヤモヤして
ひどい事を言った。


「可愛いなって思ったら
自然に手が伸びる。

もうしねぇわ」

ヒロくんはそう言って
タバコに火をつけた。

セブンスターの独特な匂いに
私は少し落ち着いた。

隣に大好きなヒロくんが
居るのに…

どうして私は
可愛くない事しか
言えないんだろう。
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