つないだ手。
「おい。」


後ろから声がした。


…………ヒロくん。


私は振り返らない。

振り返れない…

こんな涙でぐちゃぐちゃな顔
絶対見せられない。



私は途中までしか
上がってない
ブーツのチャックを
必死であげようとした。


「部屋、戻れ。」

ヒロくんは後ろで
聞いた事のないような
低い声を出した。
< 59 / 256 >

この作品をシェア

pagetop