つないだ手。
部屋を出て、かばんから
携帯を取り出した。

着信20件。

全部店長からだった。

そしてメール。

『結菜、会いたい。
電話に出てくれ。』


私は急いで電話を掛けなおす。

店が潰れた…?


2回目のコールで
電話に出た店長。

「結菜、やっと話せる…」

「どうしたの?」

「俺今逃げてる」

「はいっ!?」

「ニュース見てないのか?」

私は一切ニュースを見ない。

「見てないけど……」

「ガサ入って店潰れた。
俺捕まるんだ……」

警察!?なんで!?

「なんで!?」

「未成年使ってたのがバレた」

私の他にも未成年の子が
働いていた。
その中の一人が補導されて
働いてることを言ったらしい。

「うそ…………」

「最後に結菜と話したかった。

俺…

お前居なくなって
つらかったんだ。

もう働けとは言わねぇ…

だから俺が出てくるまで
待っててくれねぇか?」

店長は切なそうに言った。


そんな…だって私は
道具だったはず…


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