担任は優しい旦那様
『こっちこそ宜しくね

何かあったら
直ぐに言うこと』

佐川家の
掟三箇条は以下の通り。

①言いたいことは言う。

②泣きたい時は泣く。

③我慢はしない。

「分かった」


客室を
理香の部屋にした。

『今日は外食にするか』

理香が家に来た記念だね。

荷物の整理が
一通り済んで
リビングに戻ると
マー君が言い出した。

「悪いですよ」

これは理香限定で
掟を二つ程
増やさなきゃだね。

『理香、
遠慮しないこと
それから、
敬語もなし
分かった?』

「でも……」と
まだ何か
言いたそうな理香に
もう一度、念を押した。

「うん」

これでよし!!

『じゃぁ、
今日は外食でいいな?』

マー君がさっきと
同じことを聞いた。

「うん」

今度は迷いなく
理香が返事をした。

『七時に出るから
それまで自由だ』

マー君も
分かってるのだろう。

今の理香は
心が傷付いている。

*初めて見た両親の喧嘩

*別居するとの事後報告

私だったら
きっと耐えられない。

理香の心の傷を
時間を掛けて
癒していこうと決めた。

一緒に
暮らしていく内に
本当の家族の様に
なれたらいいと思った。

まさか、
数年後の結婚式で
"お父さん""お母さん"と
呼ばれことは
この時は
想像もしてなかった。
< 73 / 100 >

この作品をシェア

pagetop