担任は優しい旦那様
第二五話☆愛とは……
同窓会から
一週間後、
莉果が彼氏を
連れて家に来た。

絢菜と侠耶君は
あいにく
来れなかったけど……

理香は大学を
卒業したものの
家事に専念して
極力、外に出たがらない。

マー君のお給料で
何とかなってるから
無理に働けとは
私たちは言わない。

「ねぇ、"愛"ってさ
何なんだろうね……」

夕飯の最中に
訊かれたから
一瞬、反応が
遅れてしまった。

理香は多分、
離婚した両親のことを
言っているんだろう。

一つのきっかけが
一人の心を
毀(こわ)していく。

私たちは
結婚してから
離婚なんて
考えたこともなかったと
今更ながらに思った。

『一生、
探し続けるもの』

マー君が私より先答えた。

間違ってはない。

『自分で見つけるもの』

私はそう思ったんだ。

"愛"は人それぞれ
皆違うから……

『ねぇ、理香
二人の離婚は
残念だったけど
それで理香が
臆病になることは
何一つないんだよ?』

両親の離婚が
理香の心を塞ぐ
きっかけに
なってしまった。

それはとても
悲しいことだ。

結果、
対人恐怖症になり
恋愛恐怖症にもなって
外に出ることを
極力しなくなった。

私は友人として
家族として
理香には
両親以上に
幸せになって
欲しいと思っているけど、
だからって
焦る必要はない。

ゆっくりゆっくり
ちょっとずつ
理香が
克服出来ればいいと
祈っている。

「二人ともありがとう」

笑顔が少し
ぎこちないけど
あの頃よりは
笑う様になった。

『少しずつ
慣れる様に
今度三人で
百貨店に行くか』

まずは対人恐怖症から
治して行かなきゃね。
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