JAST BECAUSE…
「これで少しは浮かばれるかな…?」
水飲み場にある手洗いで汚れた手を洗い流しながら、私は彼に話し掛けた。
「さあ、どうだろうな」
先に洗い終わった彼はジーンズのお尻に手を擦りつけて濡れた手を拭くと、ポケットからくしゃくしゃになったハンカチを取り出して私に差し出した。
自分のハンカチを持ってはいたけど、彼のやさしさが嬉しくて、私は素直にハンカチを受け取った。
「結局、エゴなんだよな」
「え…?」
通りに向かって歩きだしながら、彼は誰に言うというでもなく呟いた。
「犬を飼うのも、捨てるのも。今、俺たちが子犬の為に墓を作ってやったのだって、結局俺たちの自己満足に過ぎないってことさ」
「そんな…それは勝手に飼っておいて、捨てたりするのは酷いと思うよ! でも、あのまま道に置き去りにするよりはちゃんとお墓作ってあげた方が、ワンちゃんだって嬉しいに決まってるよ」
「…あんた、優しいんだな」
彼が暖かい目で私を振り返り、微笑む。
『あなたの方が…』
私は心の中で言葉にならない言葉を繰り返し、彼の微笑みに何だか恥ずかしさを覚えて、彼の視線から逃げる様にうつ向いた。
水飲み場にある手洗いで汚れた手を洗い流しながら、私は彼に話し掛けた。
「さあ、どうだろうな」
先に洗い終わった彼はジーンズのお尻に手を擦りつけて濡れた手を拭くと、ポケットからくしゃくしゃになったハンカチを取り出して私に差し出した。
自分のハンカチを持ってはいたけど、彼のやさしさが嬉しくて、私は素直にハンカチを受け取った。
「結局、エゴなんだよな」
「え…?」
通りに向かって歩きだしながら、彼は誰に言うというでもなく呟いた。
「犬を飼うのも、捨てるのも。今、俺たちが子犬の為に墓を作ってやったのだって、結局俺たちの自己満足に過ぎないってことさ」
「そんな…それは勝手に飼っておいて、捨てたりするのは酷いと思うよ! でも、あのまま道に置き去りにするよりはちゃんとお墓作ってあげた方が、ワンちゃんだって嬉しいに決まってるよ」
「…あんた、優しいんだな」
彼が暖かい目で私を振り返り、微笑む。
『あなたの方が…』
私は心の中で言葉にならない言葉を繰り返し、彼の微笑みに何だか恥ずかしさを覚えて、彼の視線から逃げる様にうつ向いた。