JAST BECAUSE…
 私は社会人二年生。
 実は大学三年生だ。

 初めて彼と逢った時は、私と同じか少し上かなって思っていたけれど、こうして知り合うようになってからは子供っぽい彼の一面も垣間見えたりして、たまに年の差を感じさせられる。

 大抵のそれは楽しい出来事だったけれど、つまらない気持ちになる時もある。

 それは彼が私の指先からすり抜けて行くとき。
 それは彼が大学の友達と一緒にいるとき。

 そして、そんな時は必ずと言っていいほど、あの二人がいて…私に見せない笑顔の実がいた。

 実から私に連絡を取って来ることはなかったけど、彼は私の我がままに良く付き合ってくれた。

 一緒に食事をするときも、映画館に連れ出すときも。

 ただ、触れられない指先。
 伝えきれない思い…。



< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop