モノクロ
目の前で後片付けをする先生には、「授業が終わるまで休んでいきなさい」と言われた。
ショックがあると思われたのだろう。
時折こちらを気遣いながら、先生はノートパソコンで仕事を再開する。
静かな空間で、特にする事もなし。
今になってジクジクと痛みだした切り傷に気をとられ、余計に痛覚が冴えてしまう。
――難しいな。これ以上、何も知らない私が普通に生活を送るのは。
痛みと静かな空間の中で、漠然とした危機感が生まれる。
敵の正体は不明。でも、私を狙っている事は明白。
どうにか解決するための手段は無いものか、と考えているうちに、小さく鳴った終業のベル。
「じゃあ…、私戻ります」
「ええ、無理はしないでね。」