モノクロ






「――っ、あ…りっ、逢里!!」


パキン、と何かが割れる音がした。

同時に景色が頭の中にしっかりと認識されていく。


「……、れ、仁那?」

「よかったぁ、石みたいに固まってたからどうしようかと思ったよ…」


周りを見れば、私は階段の途中で壁にもたれながら、幼なじみの仁那に支えられていた。


「どうしちゃったの、逢里…。何かあったの?」


心配そうに仁那が私を見つめた。
仁那の手には二人分の鞄がある。どうやら私の分も持ってきてくれたのだろう。

先程のガラスの件でも、仁那は私の表情に感づいてる。
心配ばっかりかけてしまうようで、なんだか申し訳ない。

でも。



『―――遊びましょう』



話したら、巻き込んでしまうような気がして。

「仁那、ごめん…。先、帰る。」



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