モノクロ
(な、な……っ!)


「だっ、誰がストリップよ!」


「誰もそこまで言ってねぇよ。」



真っ赤になりながら叫べば、彼は私の頭を軽く小突いた。
ハァ、とため息を吐いてチェアに座り直す。


「とにかくだ、そのペンダント、しっかり肌身離さず着けとけよ。護身にもなるから。」

「…………、わかった」


まるで小さな子供に諭すように私に言う彼。

私もバカ丸出しだ。流石にさっきの行動がいたたまれない。


ホットミルクの残りを飲み干し、少し落ち着く。


「えっと……そうそう。この部屋って、………あなたの、部屋?」


話題を転換させようとして、何て呼べばいいのかわからずに変な間があく。

私が彼の名前を見たのは分かるだろうけど、勝手に呼んでいいものか。


会ったばかりとはいえ、今までより変に他人行儀になってしまう。


「そうだけど。……透夜、でいい。忍野透夜。」


見兼ねた彼――透夜が一言。

結局変な空気が流れてしまい後悔。


「鹿島逢里、です…。」


やっとお互いが名前を名乗る。
変な話だ。会ってから何時間も経っているのにやっと名前を知るなんて。



今度は直ぐに疑問を切り出した。

「ねえ、何で透夜は色んな事知ってるの?」

「色んな事?」

「私と、あの子の事とか、裏界? の事とか。」



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