モノクロ
素直な疑問だった。

彼は心が読めるとは言え、私に起きている状況に詳しかった。


それは、何故?


「副業だから。」


「…………へ?」



返ってきた答えは、思っていたよりも短い一言で、肩透かしをくらった気分。

もっと仰々しい答えだと思っていた。


「俺の本業は学生だけど、副業として裏界のトラブルの依頼を受けてる。まだ始めたばかりだけどな。」


「り、裏界の……」



もしかして金取るんだろうか。
一瞬、嫌な考えが頭を過ぎる。


「……そんなあからさまに嫌な顔すんな。お前から金は取らない、これは俺が首つっこんだんだからな。」


「………なんかスミマセン。」


これって所謂、ただ働きって言うんじゃないだろうか。
透夜が心配になってきた。

私の心配をよそに、透夜は机に頬杖をつきながら、少し考えてまた一言。


「他には、俺が裏界のヤツと同化してるから…ってのもあるか。」




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