モノクロ
皆が皆、目に見えない「あること」に怯え、恐れているんだ。
「では、次の問1から3を―――、鹿島。」
これもありがちな光景。
先生が生徒に問題を解かせようと指名する。
……でも。
この指名が、また、今日も恐怖を呼ぶと、誰が知っているのだろう。
指された生徒は私。
私は立ち上がり、教科書に視線を移しながら、解答しようとする。
でも、私は知ってた。
次の瞬間、何が起きるかも。
「…問1は[イ]、2は――」
――――ガシャン!! 窓ガラスの砕け散る音が、教室に響く。
広範囲に飛んだガラスの欠片のうち一つは、私の左頬にキズをつけ足元で砕け散った。
恐怖が部屋を支配する。
悲鳴、怯え。
そんな中私はただ、無感情に頬のキズに手をあてた。
生暖かい液体が指先に纏わり付く。
「――またか、クソ…ッ!! どうなってやがる! このクラスは…!」
先生は忌ま忌ましげに黒板を殴った。