モノクロ
「ケガ人は、鹿島だけか!? 窓際は!?」


「いません! 早く鹿島の手当を!」


先生と学級委員の美佳子の大きな声。

ざわつく教室の中、美佳子は一人ひとりに声をかけながら破片の掃除を始め、先生は私に駆け寄り保健室へと向かおうと急かす。

無言で頷き、足早にこの教室を去ろうと歩き出した時。




「……もうやだ、なんなの?」


聞こえてきたのは、弱々しい声。

今にも泣き出しそうな、友達の声だ。


罪悪感にズキンと胸が痛む。


(……ごめん)



涙声になりつつあるその友達を直視できなくて…そのまま、私は小走りで保健室へ向かった。



< 7 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop