モノクロ
はじまりは、本当に小さな、記憶にも残らない筈の、異変だった。
身につけている物。
例えば、無くなっても気付きにくい黒ピンやヘアゴム。
毎日置く筈の場所から、前日着けたものだけが無くなるという、些細なこと。
置き忘れたんだろう、で済むような、小さな異変。
それが、いつからだろう。
私の周りで起きる、奇怪な異変が、大事になり始めた。
学校では盗難事件が起き、先程のようにガラスは頻繁に割れ、学校帰りに寄ったデパートでは、誰もいなかったトイレでボヤ騒ぎ。
家路につけば、隣で起きた交通事故。
その異変は着実に、穏やかな日常を奪おうとしている。
しかも、今のように私に直接攻撃するケースはほとんど無い。
ボヤ騒ぎ然り、交通事故然り、大概被害は周りの人間に出てしまう。