【短編】虹の端っこの、キミ。
虹の端っこの、キミ。
「――――陽ちゃあん!」
そんな声と同時に、バンッ!と大きな音を立てて、屋上の扉が開く。
その音に、閉じていたまぶたを押し上げた。
…おいおい。
壊れるぞ。
相変わらずの馬鹿力に思わず苦笑する。
「陽ちゃんったら!いるんでしょ?返事しなさいよー!」
うるせぇな。
俺の睡眠を邪魔しやがって。
けだるい体を起こし、扉の方に視線を向けた。
「……日和(ヒヨリ)」
短く呼ぶと、キョロキョロとしていた視線が俺に向けられた。
そして、俺を見つけた瞬間、大きな瞳を細めて笑う。
「見つけた、陽ちゃん」
嬉しそうにそう言うと、日和は俺のいるところへ走ってきた。
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