【短編】虹の端っこの、キミ。
「どうしていつも宝物が見つかんないのに、悲しくないの?」
…日和。
お前、泣いてんのか?
「それどころか、ちょっと嬉しそうなんだもん。何でなの?いつも陽ちゃんは…」
「日和」
キィ…と錆びれた音を立ててブレーキを握りしめた。
自転車から降りて、後ろにいる日和の前に立つ。
相変わらず顔を俯けたままの日和。
その頬に光るものが見えた俺は、こっそりとため息をついた。
ガキかよ、お前は。
ゆっくりと腰を折り、日和の目線に合わせる。
「…日和」
俺が名前を呼ぶと、日和は小さく首を振った。
「っ見ないで」
「見てねぇよ」
そっと手を伸ばし、まぶたの下に触れる。