【短編】虹の端っこの、キミ。
束ねられた二つの髪が、ぴょこぴょこと跳ねるのを見ながら、梯子の方へ移動した。
「ほら、掴まれ」
右手を伸ばしてそう促すと、日和は両手で俺の手を握った。
…小せぇ手だな。
「ッうぎゃ!」
力いっぱいに引き上げると、勢いが良すぎたのか、日和が俺の胸に倒れ込んできた。
「いったーい」
「…いいから早くどけ」
重いっつの。
「陽ちゃんが悪いんじゃんか」
ぶつぶつと文句を垂れながら、日和は俺から体を離した。
その瞬間、ふわりと柔らかい匂いが香る。
「…うるせぇな」
あー、もう。
無防備なんだよ、お前はいつも。
馬鹿か。