【短編】虹の端っこの、キミ。
ハッとしたように体を強張らせた日和に苦笑しつつ、俺は日和の涙を拭った。
「…ちょっと来いよ、日和」
スッと立ち上がり、日和の前に手を差し出す。
日和は少しだけ悩んで、素直に俺の手に触れた。
俺よりも一回り小さい手を握りしめ、そっと引っ張った。
「…どこ行くの?陽ちゃん」
「いいからついて来い」
日和の手を握り、ずんずんと歩いていく。
そして、少し開けた視界の向こうに見えた景色に、日和が小さく息を呑んだ。
「よ、うちゃん…ここって…」
覚えてたか。
フッと小さく笑い、夕陽が差し込む世界に日和を誘った。