【短編】虹の端っこの、キミ。
「…懐かしいだろ?」
日和を振り返り、そう尋ねると、日和は頷いた。
少し腫れた目を細めて、
「まだ、あったんだ…」
懐かしそうにつぶやいた。
そっと俺から離れた日和は、ぐるりと辺りを見回す。
「変わってないね」
「あぁ」
ここは、俺たちの秘密基地だった。
俺たちがまだ小さい時に、二人で作った秘密の場所。
懐かしい思い出が蘇る。
「なぁ、日和」
「ん?」
俺の声に日和が振り返る。
俺は少しだけ目を細めた。
『――――陽介ちゃん!』
昔の日和が、俺の名前を呼んだ気がした。
「…虹の端っこってさ、あると思う?」
「へ?」
ビックリしたように日和は瞬きを繰り返し、そして怒ったように俺に詰め寄る。