はちみつ色
「隣の5組だよ。杏ちゃんでしょ、たぶん」


「キョウ・・・ちゃん?」


「そ、竹下杏【タケシタ キョウ】ちゃん。高校入学と同時に両親が海外に転勤して、今は婆ちゃんの家に住んでるらしいよ。で、他の情報はナイ」


「ナイって、お前にしては珍しいじゃん」


「うーん、杏ちゃんってミステリアスなんだよね。浮いた話もないし、他の女子みたいに自分から情報を垂れ流さないって感じ」


あぁ・・・何となくその雰囲気分かるかも。


ギャーギャー騒いだりしそうにないし。


てか、スカートの丈も短すぎずに適度だし?


「はぁぁぁぁ・・・モテモテヤンキーもついに身を固めるのかぁぁ・・・」


ガックリとワザとらしく肩を落とす唐沢。


つか、身を固めるってなんだよ!


ただ俺は、ネコ目のアイツを知ってるか聞いただけだろ!!!


「てか、モテモテヤンキーって何だよ!!!」


目の前で、うざい位に溜め息を付いてる唐沢の頭を叩いて叫ぶと、恨めしそうに顔を上げて口を開いた。
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