はちみつ色
髪は耳の後ろで1つに束ねているものの、あの目は間違いない。


遠目でも分かる、彼女の表情。


周りがぼやけて、一気に引き込めれて行く。


「テメー、いい気になりやがって・・・」


赤髪が、顔を歪めてポケットから何かを取り出した。


彼女に引き込まれていた俺の視界がそれを捉え、俺は咄嗟に叫んだ。


「杏っ!!逃げろっ・・・――――!!!」


一瞬、驚いた顔で杏が俺を見る。


しかし、次の瞬間・・・・・・


「・・・冗談っ・・・?」


と、唇の片端をクッと上げて笑った。


・・・・・・は?


駆け出そうとしていた俺の目の前の景色が変わる。


杏は、後ろに立っていた男の腹に足を蹴り込み、さらにはナイフを持った赤髪の腕をスルリとかわす。


そして、長い足を器用に上げて、赤髪のナイフを持った手を跳ね飛ばした。


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