はちみつ色
「あ・・・そういえば、朝ゴメンね?」


杏が、思い出したかのように口を開く。


朝?


何かされたっけ?


どいてくれる?って声をかけられて、助けられた感の方があるんだけど。


「なんか、彼女を怖がらせちゃったみたいで」


あたしって見た目がキツイから誤解されやすいんだよね、と付け加えて悲しそうに眉を下げる。


「あー、全然平気。あれ、彼女じゃないし」


「えっ、そうなの!?」


「逆に声かけてくれて話が切れたから助かった」


「そっか。なら良かった」


自分を責める理由がなくなったというのに、杏は相変わらず下を向いたまま。


髪が風に煽られて、そんお表情を隠している。


てか、俺、女と普通に喋ってるし。


いやいや、あんなケンカ技見せられたら女とも思えないっていうか・・・。


「杏って、ケンカ慣れしてる?」


思わず口から出た言葉がこれだ。


初対面で、なんちゅー質問してるんだって思ったけど・・・


なんか・・・親近感が湧くみたいな・・・何というか・・・同類?みたいな?



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