はちみつ色
目の前を見れば、唐沢がニコニコ満面の笑みで女たちを見上げている。


机についた状態の俺たち二人は、完全に女たちの輪に飲み込まれていた。


甘かったりキツかったりする香水の香りが熱気と混ざり合ってムカムカしてくる。


誰か・・・助けろよ。


てか、唐沢?


楽しんでないで助けろっての!!!


目の前を睨んでみたものの、ヘラヘラ笑うこいつに効果があるとは到底思えない。


しゃーない・・・自分で何とかするか・・・・・・


「あのさぁ・・・・・・」


一番最初に俺の腕を取っていた女を見上げる。


デラデラに塗りたくったグロスが光って、色気もクソもねぇ姿。


そいつは、目をキラキラさせながら俺の返事を待っているようだ。


「・・・・・・悪いけど、誰とも遊ばないし」


ガソリン代稼ぐのにバイトしなきゃだし?


てか、唐沢の言うように青春しなきゃだし?


ちょっと杏の秘密も暴いてみたいし?


ん?


あれ?


なんで杏が出てくんの?


「「えぇぇぇぇぇぇえっ!!!」」


教室は、女たちの絶叫に包まれた。


もぉ・・・うっせー。


杏だったら、絶対叫んだりしねーし。


ん?


だから、何で杏が出てくるわけ?
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