はちみつ色
で、その姉ちゃんが試験前になると鬼に豹変する。


《桜輔、この問題解いてみな》


って、自分が行ってる塾のプリントの束を差し出す。


塾の講師に頼んで、高2の試験対策プリントを入手してくるのだ。


ま、美人だしね。


言われるがままに「ハイ、どうぞ!」って差し出す講師の気持ちも分からなくはないけどさ。


関係ない学年のプリントをあげるなんて・・・いいんだろうか?


ま、俺にとっては助かるけど。


てな感じで、試験前になると自分の勉強そっちのけで姉ちゃんが俺に張り付く。


片っ端からプリントの問題を解かせて、解けなかった問題の解説をしてくれるんだけど・・・


《バカ!ボケ!!死ねっ!!!》


暴言のオンパレードなわけで。


授業を真面目に受けてないんだから、解けるはずもなく。


《うっせー!黙れ鬼っ!!》


なんて怒鳴りあいになる事がほとんど。


それでも、毎回懲りずに教えてくれる。


成績さえ良ければ、素行の悪さで親が学校に呼ばれるのを阻止できるでしょ?


いちいち呼ばれるとお母さんの機嫌が悪くなって、アタシが八つ当たりされるんだから。


と、いう理由でね。


まぁ、そんな訳でカンニングを疑われる位の点数は取れている。


感謝・・・だな、スパルタだけど。




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