はちみつ色
「耳に入って来るんだから仕方ないじゃん」


プンとソッポを向いて言ったアタシの耳に、クスクスと笑う声が聞こえる。


「じゃ、誰もいない場所に移動しますか?」


左に首を傾げて言う態度は、不思議と嫌に感じない。


「いい。どこに行っても一緒だし」


片方の頬を膨らませて、アタシはシンプルな黄色のお弁当袋を開けた。


その様子を見て、ヒナタもあたしの机にイチゴ柄の袋を置いた。


「キョウも、自分から語りたくなる様な事でもあればいいのにね~」


「ある訳ないから」


「うん、その内ねって事」


「キョウの事を、キョウの話を沢山聞きたいって人が現れても話さないつもり?」


「・・・誰に?」


「もちろん、その人に」


「・・・有り得ない。てか、話す事はないかな」


「さぁ、どうかな?楽しみだね」


意味深な言葉に、ブロッコリーを摘んだ箸の動きが止まる。


急にどうしたんだろう?


というのが、率直な感想だった。
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