【更新停止中】家政夫くんの攻略法
「おい。どうした」
会話を遮って口を開くと、一瞬だけ中村の瞳が揺れる。
「べつに何も...」
「いいから。言え」
肩を掴んで顔をこっちに強制的に向けさせる。
すると彼女は耐えられなくなったのか、ポツリと少しずつ口を開いた。
「わたしね、小さい頃からずっと一人だったの。
両親ともに働いてて仕方ないんだけどね」
哀しそうに笑う彼女の話に相槌を打ちながら聴く。
「わたしが風邪引くとか、何かあったその時はわざわざ仕事抜けてもらってて。
わたしがいることでいっつも迷惑かけてた。
いつも迷惑ばかりかけてて...」
目線を落とし、過去を見ているかのような顔つき。
迷惑、という単語が気にかかる。
「今も何もできないわたしを心配させてる...」
自分を落ち着かせるために深いため息を吐くと、再びまっすぐと俺を見る。
「だから坂口くんの家族の仲よさに、嫉妬しちゃった」
また苦しそうな笑顔。