【更新停止中】家政夫くんの攻略法



「...そうだよね。ただの被害妄想だよね」



悔しそうに俯くとさらりと落ちた髪で顔が隠れる。


だから、こんなことが言いたいんじゃなくって。


はあーっ、と大きく息を吸いだし感情を整える。



「———わかってる。

ちゃんとわかってるから」



脈絡のない会話だってわかってる。


それでも、なんとかして俺の方へ振り向かせたい。


俺の突然の言葉に、赤くした瞳を向ける。



「自分が寂しい思いをした分、あいつらを大事にしたいんだよな」



どれだけ針で指を刺そうが。


エプロンを涙と鼻水だらけにされようが。


いつもいつも笑顔を絶やさない中村を俺は知ってる。




「だから、愛されてないなんて言うな。

愛されてないなら、俺は中村のとこに呼ばれてないから」



体が熱い。

意識がぼやけてる。


それでも言葉が自然に口から出て行く。


少なくとも俺は、笑った顔が見たいだけなんだ。



「だから...だから泣くな。


———こはる」



力強く引き寄せ、気づけば腕の中にあいつがいた。

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