【更新停止中】家政夫くんの攻略法
*5限
家政夫くんと縮まるキョリ
『———泣くな。こはる』
あの優しい声と言葉が、頭から離れない。
「———はる...。
春...。
こはる!」
急に耳に届いた声。
はっ、と意識を戻す。
「こはるっ、時間!」
沙織の言葉で自分が何をすべきか思い出す。
「ああっ、茶碗蒸し!」
こっちじゃなくて...と咄嗟に利き手の右を出そうとして引っ込める。
ミトンをはめていた左手を伸ばし、蓋の取っ手をつかむ。
何とか間に合ったのか、見た目は綺麗。
「よかったあ...」
ほっと一息をついたのもつかの間、左手で掴んでいた熱々の蓋に右手が触れる。
「あっつうっ!!」
つい手を離し、蓋が落ちた音が家庭科室に響く。