【更新停止中】家政夫くんの攻略法



「ただいま!」


ドアを開けてすぐにそう口に出し、バタバタとリビングへ駆け込む。


そこにはおたまを使って、フライパンからお皿へと移す彼の姿があった。

わたしの姿に気づくや否や、表情がやんわりと穏やかに変わる。


「おかえり。ちゃんと鍵閉めたか?」


わたしに向けられたその目線。

優しい口調に、心がキューンっと苦しくなる。


「し、めたっ」


苦し紛れに出た言葉に、彼はふっ、と軽く笑う。



「あのね、これを買ってきたの。わたしが好きなお店で、右京くんと一緒に食べたくって...」



右手に大事に持って帰ってきた箱が入ったビニール袋を、右京くんの前に差し出す。


その様子を見て、彼はフライパンを鍋敷きの上に置き、わたしの手から袋を受け取る。


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