月下の踊り子
第一章『世界の檻』
西暦2039年――現在、日本の法律はあらゆる法改正が成された。
それは主に刑法。
その一端を担ったのが多発する少年犯罪である。
【法令番号】(昭和二十三年七月十五日法律第百六十九号)少年法。
昭和二十四年一月一日に施行され、幾度も改正されたこの法の廃止が決定したのはつい五年前のことだ。
勿論、この可決には国民も大きな疑問を抱いた。
例え罪の意識の薄い幼児であろうと死刑の対象となるのだ。
死には死をもって償うハンムラビ法典にも似た現状。
道徳的にも倫理的にも今の日本は狂っているとしか言いようがない。