月下の踊り子



しばらくすると山口は自分の持ち場に戻った。


辛いのは自分だけじゃない。山口にそう教えられた。


私はまだ庭に立ち止まったままでいる。


動き出さねば。そう思うけれど動き出すきっかけがない。


どんな事でも良い。理由が欲しかった。


今、働かなければならない理由がどうしても見つからない。


夜勤が始まるまでこのままで良いんじゃないかと馬鹿な事を考えてしまう。


働きたくないから働かないなんてまるで子供の我が侭だ。




< 174 / 207 >

この作品をシェア

pagetop