月下の踊り子




煙草に火をつけ、一息入れる。


思いもよらないほど話がすんなり終わった。


これで宮沢がその通り今後問題を起こしてくれなければ万々歳なのだが。


まぁいきなり宮沢の行動が一変したらそれはそれで薄気味悪い。


徐々になおしてくれれば良いのだ。


そういえば今夜の夜勤は宮沢と一緒だった。


ガキみたいに機嫌を損ねていなければ良いのだが。


――って何、他人の機嫌なんかを気にしているのだ。


自分らしくない、と自嘲気味の笑みを零した。


夜勤の時に毎回、舞歌と話すようになって少しづつ羽鳥淳二という人間が変わりつつあるのかもしれない。


それは悪い気はしない。


しかし自分が自分でなくなるような一抹の不安がない訳でもなかった。


木造の机に突っ伏す。少し眠い。


段々と重くなってゆく瞼を堪える事もせず遠くなる意識に身を任せる事にした。






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