月下の踊り子
語彙に乏しいので「ありがとう」くらいしか言葉が出てこなかったけど、それ以上に伝えたい言葉があるはずだった。
自分の自分の胸にそっと手を添える。
高鳴る動悸。羽鳥さんに抱きしめられてから未だに止んでいない。
あの優しさも温もりもこの胸の高鳴りがある限り、決して忘れる事はないだろう。
本でしか読んだことがなかったけれど、この胸の高鳴りを今なら理解できる。
今も目を閉じれば鮮明に思い出せるあの人の顔。
――私は今、恋をしている。
☆間奏了☆