『仰せのままに、お嬢様』《完》
(うわ……そ、そうだよね……)


角の側に詰めたら、楓さんと
距離が近くなるのは当然だ。

でも、赤ちゃんが可哀相と
思って、そんなのすっかり
忘れてたぁ……!


(どどど、どうしよっ……)


一瞬忘れてた緊張が、
倍以上になって舞い戻ってくる。


視線のやり場に困って
俯いたあたしの耳に、楓さんの
クスクスという笑い声が
聞こえた。


「緊張していたのに、
さらに緊張する状況に
なってしまいましたね」


「うっ………」


その言い方、全部
丸わかりって感じですね。


(うぅっ、その通りですよぉ。

どうせあたしは、マヌケな
子です……!)


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