『仰せのままに、お嬢様』《完》
この状況で食事とか楓さんと
会話とか、これ以上できるかな。


動揺しまくってるあたしに……
ふいに、楓さんの細い
指先が近づいた。


「……………っ!?」


あたしはビクッとして首を
すくめてしまう。

だけどそれを無視して
楓さんの指はさらに近づき、
あたしの頬にそっと触れて
――…。


(な、な、な、何~~~っ!?)


パニックになりながら顔を
あげると、目の前で楓さんが
穏やかに微笑んでた。


そして、またクスッと
小さく笑って、


「お気になさらず。

“デート”ならば、これは
少しも不自然な距離では
ございません」


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