『仰せのままに、お嬢様』《完》
MAXまでのぼり詰めてた
緊張が、何とも変な形で
破裂して、あたしは空気の
抜けた風船になったような
気がした。


(もうっ……楓さんの、
バカーッ)


こんな緊張するレッスン、
あたし、心臓がもたないよ。


ガクッとうなだれたあたしに、
楓さんは優しい声で言った。


「早く食事を済ませて、
次へ参りましょう。

私も段々楽しくなって
まいりました」


「ふぇ? た、楽しい?」


こんなオタオタしてる
あたしと一緒にいるのが?


「ええ、楽しゅうございます。

執事がそのように感じては、
いけませんか?」


「え? あ、いや……」


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