『仰せのままに、お嬢様』《完》
「失礼ながら、私には
リリカ様が久賀様のお誘いを
歓迎なさっているようには、
とてもお見受けできません」


そう言いながら、楓さんは
チラリとあたしの方を見る。

あたしはここぞとばかりに、
ブンブンと首を縦に振った。


「え、リリカちゃん?

君、こんな奴に気を
つかわなくても――」


はぁっ? この状況でも
まだそんなことが言えちゃう
遼人さんって、ある意味
すごいと思うけど。


「気なんて使ってないです。

遼人さん。あたし、
楓の車で帰りますから」


「え…………」


ピクッと固まる遼人さんの顔。

そこに容赦なく、楓さんは
凛とした声で言い放った。


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