『仰せのままに、お嬢様』《完》
「リリカ様もこう
おっしゃっています。

久賀様。本日は
お引き取り下さい」


「何だと、お前――!」


「お引き取り下さい。

これ以上、我が主に恥を
かかせるようなことを
なさるのであれば――…」


楓さんの澄んだ瞳の奥が、
キラリと光る。


静かな声。落ち着いた表情。

だけどその瞳には、有無を
言わせない強い光がある
ように見えた。


(楓さん―――……)


鼓動がいつの間にかすごく
速くなってる。

ドキドキする胸に手を当てて、
あたしは楓さんと遼人さんを
交互に見た。


……短い沈黙。


やがて、負けを認めて声を
発したのは、遼人さんだった。


_
< 134 / 364 >

この作品をシェア

pagetop